「”父”に対して話する時に娘さんに加勢してもらえるとよいかも」という話をしましたが、その動画は「夫がネトウヨになって悩んでいる奥さん」に対して話しているという前提です。
つまり、「父に対する話」ではなく、元々の設定が「夫に対する話」です。
その場合、ネトウヨの歪んだ家父長制的価値観により、
「男VS女」の対立軸が現れるから、「女」サイドの「娘さん」に加勢してもらえるといい(かも)と言ったわけです。
しかし、そもそも家父長制価値観に由来する”強い父”であり、娘さんがその”強い父”に怯えてる、というようなケースでは、娘さんを動員しても加勢にならない可能性が高いでしょう。
また、逆の方がさらに然りで、
夫婦の間に長年の「支配-被支配関係」が成立している際には、
娘がネトウヨ化した父を糾弾しようとしても、母が父に加勢し、「両親VS娘」の構図が現れることになりかねない。
性加虐のケースでよく見られる構図です。
息子が”強い父”に対抗するケースでは、より深刻な対立に発展する可能性が高くなります。
父が息子を「(一個の独立した)若いオス)」と見做した場合、妻や娘といった自分の家族を「新しい群れのボス」が収奪せんとしている、という潜在的(本能的)な脅威を感じて、必死になります。
ただ、そもそも、現在の家族において父親は弱い立場であることが多く、
かつての家父長制の”強い父親”の復権への憧憬からネトウヨ化していく、というケースが多いのではないかと思います。
早期にその兆候を発見できたならば、妻が夫に芽生えた「ネトウヨの芽」を摘み取ることは、そこまで難しいことではないかもしれない。
しかし、それならそれで、ネトウヨ化するのとは別の「尊厳の形」をお父さんになんとなくでも示してあげることが、解決の糸口になるのではないかと思います。
さて、家族は本来、争闘する関係ではないはずです。
互いに寄り添い、手を携え、背中を守りあって、世知辛い社会に対峙するための共同体です。
父のネトウヨ化は、その共同体の絆を断ち切るような動きです。
これを食い止めることによって、家族間のつながりを回復し、維持することが最終目標ですよね。
そのことを忘れずに「夫」「父」に対するのであれば、
誰が”お父さん”に話をするのだとしても、良い結果が導かれるのではないかと思います。